柔らかな風
「柔らかな風」という曲を作った。
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開け放たれた窓辺から
柔らかな風流れ込む
通りを歩く人や
庭の木をひとり見ている
何かできると思っている
諦めていた色んなこと
どこかへ歩いて行こう
生まれたてのように澄んだ気持ちで
大空へ両手を広げ
つかまえて 手の平にあの空を
新しい朝眺めている
新しいこと探している
遠くへ歩いて行こう
生まれたてのように澄んだ気持ちで
新しい朝眺めている
新しいこと探している
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曲をつくるときだいたい歌詞はそのとき読んでいる小説から思いつくことが多いが、最近はずっとグレイス・ペイリーの小説を読んでいたためそこから影響を受けた。
女性作家の小説はわりと好きなものが多いが、グレイス・ペイリーの小説は下記の通り村上春樹があとがきで言っているようにあまりない感じで、久しぶりに小説を読むことにハマった。
“グレイス・ペイリーの物語と文体には、いったんはまりこむと、もうこれなしにはいられなくなるという、不思議な中毒性があって、そのややこしさが、とにかくびりびりと病みつきになる。
ごつごつとしながらも流麗、ぶっきらぼうだが親切、戦闘的にして人情溢れ、即物的にして耽美的、庶民的にして高踏的、わけはわからないけどよくわかる、男なんてクソくらえだけど大好き、というどこをとっても二律背反的に難儀なその文体が、逆にいとおしくてたまらなくなってしまうのである。”
とくに、『最後の瞬間のすごく大きな変化』の『必要なもの』が良かった。
夫と別れて一人で暮らしている女が18年も借りっぱなしだった本を図書館に返しに行き、再度同じ本を借りて、偶然別れた夫に会って話しをし過去を振り返って、2週間以内に借りた本を返せるようなきちんとした女になりたいと思い、今日こそ本を図書館に返しにいこうと思い立つところで小説が終わるというよく分からないストーリーだが、清々しい気持ちになり、新しいことを始めたいという気分になったのでそういう歌詞の曲を作った。